バティック文様の世界
インドネシアの伝統布「バティック」には、単なる装飾を超えた意味が込められています。
柄は大きく分けると、
◆象徴的な力を持つ文様
◆幾何学の美を持つもの
◆自然や生命を描いたもの
に分類することができます。
それぞれに、ジャワの歴史と精神文化が息づいています。
力と精神性を宿す連続文様
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パラン(Parang)
斜めに流れる波のような構成。
もともとは王族しか身につけることができなかった格式高い柄です。
途切れることなく続く線は、「強さ」「守護」「揺るがぬ意志」を象徴します。
幾何学文様とは異なり、精神性を強く帯びた象徴的な文様です。
規則美が生み出す「幾何学文様」
整然と繰り返される構成は、秩序・調和・永続を象徴しています。
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カウン(Kawung)
ヤシの実の断面を図案化した、最も古い文様のひとつ。
四方に広がる形は、「純粋さ」や「節制」を意味するとされる。
かつては王族専用の柄(カイン・バティック)であった。
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チュプロック(Ceplok)
円や星、花形を幾何学的に配置した文様群。
規則的な反復が美しく、ジャワ古典文様の基礎をなします。
「シド (Sido)」系もこの構成に含まれます。
“シド”には「成る・続く」という意味があり、繁栄や成功への願いが込められています。
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スカール・ジャガット (Sekar Jagad)
様々な模様をパッチワークのように配置した柄。
島々の集まりであるインドネシアを表す、華やかで多様性を感じるデザインです。
世界の美しさ(Sekar=花、Jagad=世界)「花で満ちた世界」「美しい世界」という意味です。
自然と生命を描く文様
ジャワの思想では、人は自然と調和して生きる存在と考えられてきました。
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スメン(Semen)ジャワ王宮の精神文化を映す文様

ジョグジャカルタやソロなどジャワ内陸の王宮文化から生まれました。
山、木、鳥、花、ガルーダなど神話的生き物などが描かれ、宇宙観や生命の循環を象徴します。
「成長」「豊穣」「生命力」がテーマです。
茶(ソガ色)中心
落ち着いた格調高い印象
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ブケタン(Buketan)北岸文化とヨーロッパの出会いから生まれた華やかな花の文様

花束を意味する文様。
19世紀に、ジャワ北岸地域でオランダ文化の影響を受けて生まれました。
特にプカロンガン (Pekalongan) で盛んになりました。
写実的で華やかな印象
西洋絵画の影響で、明るく華やか、ピンク・ブルー・パステルなど多色使いが特徴です。
雲文様
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メガムンドゥ(Megamendung)雲のグラデーションが美しい、個性的な文様

西ジャワ州の都市チレボン(Cirebon)発祥の伝統的なバティック柄
重なり合う雲の形は、中国文化の影響を受けた吉祥模様です。
雲は「天」と「恵み」を象徴し、心を穏やかに保つことを意味すると伝えられています。
